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Home アーキテクチャーセンター 接続性と回線戦略

衛星 / NTN を含めた遠隔地の回線設計

衛星対応エリア内の遠隔地やセルラー圏外で、セルラー、Wi-Fi、有線 LAN、衛星を主回線、予備回線、オフロード回線として使い分ける設計を整理する。

遠隔地やセルラー圏外を含む IoT デバイスの回線設計では、セルラー、Wi-Fi、有線 LAN、衛星を同じ役割で並べず、主回線、予備回線、オフロード回線として分けて検討します。移動体や短期設置の現場ではセルラーを主回線にし、拠点やベースステーションでは Wi-Fi や有線 LAN にオフロードし、衛星対応エリアで地上回線が届かない場所では衛星 / NTN (Non-Terrestrial Networks、非地上ネットワーク) を補完回線として使う、といった設計が考えられます。

SORACOM Arc は Wi-Fi や有線 LAN など任意の IP ネットワークから SORACOM へ接続するために使います。SORACOM Air for Satellite の planNT1 は、衛星対応エリアで地上回線が届かない場所から小さな IoT メッセージを送る選択肢です。回線を増やす前に、どの回線でどのデータを送るか、どの条件で切り替えるかを決めます。

仕様確認が必要な項目

設計を確定する前に、設定手順、対応国や地域、対応モジュール、料金、ペイロード制限などの最新仕様を 関連する SORACOM ドキュメント で確認します。

planNT1 の衛星通信は対応地域を先に確認する

planNT1 はセルラー通信と衛星通信の両方に対応していますが、利用できる国や地域は通信方式によって異なります。planNT1 の衛星通信を利用する場合は、設計前に 関連する SORACOM ドキュメント で対応地域を確認してください。利用予定の国や地域が対応地域に含まれるか確認できない場合は、想定している利用国や地域を添えて SORACOM サポート にお問い合わせください。

このページが役立つケース

次のような設計課題がある場合に役立ちます。

  • セルラー、Wi-Fi、有線 LAN、衛星を、主回線、予備回線、オフロード回線としてどう組み合わせるか判断したい。
  • 山間部、海上、農地、建設現場、短期設置現場など、地上回線だけでは接続性を満たしにくい場所の設計を整理したい。
  • セルラー圏内では通常のデータ送信を行い、圏外では重要なイベントや位置情報だけを送信する構成を検討したい。
  • Wi-Fi や有線 LAN を使う場合でも、SORACOM Beam や SORACOM Harvest Data などの SORACOM サービスへデータを送信する経路をそろえたい。
  • 衛星対応エリアで衛星を使う場合に、通信量、遅延、ペイロード制限、双方向性、料金をどの順序で確認するか整理したい。

回線の役割を分ける

複数の回線を組み合わせるときは、まず各回線にどの役割を持たせるかを決めます。

役割使う回線の例向いている使いかた設計時に確認すること
主回線セルラー、有線 LAN、Wi-Fi、衛星通常時のデータ送信に使う設置場所、移動の有無、通信量、電源、料金、保守方法
予備回線セルラー、衛星、Wi-Fi主回線が使えないときに重要データだけを送る切替条件、再送方法、予備回線で送るデータの種類
オフロード回線Wi-Fi、有線 LAN拠点内やベースステーションで通信量や料金を抑えるSORACOM へ接続する経路、認証、ルーティング、料金
圏外補完回線衛星衛星対応エリアで地上回線が届かない場所から状態やイベントを送る対応地域、対応モジュール、ペイロード、遅延、通信頻度、料金

回線を増やしても、すべてのデータをすべての回線で送る設計にすると、デバイス実装、監視、料金管理が複雑になります。通常データ、異常通知、位置情報、保守用データなどを分け、どの回線でどのデータを送るかを先に決めます。

回線ごとの特徴を比較する

回線向いている場面SORACOM での扱い注意点
セルラー移動体、屋外、短期設置、回線の敷設が難しい場所SORACOM Air for セルラー の IoT SIM で SORACOM サービスへ接続する対応エリア、通信キャリア選択、電波状況、通信量を確認する
Wi-Fi拠点、ベースステーション、屋内、通信量が大きいデータの送信Arc を使うと、Wi-Fi から SORACOM へ接続できるWi-Fi の認証方式、ローミング、現場ネットワークの変更に影響を受ける
有線 LAN固定拠点、設備内ネットワーク、安定した常設回線Arc を使うと、有線 LAN から SORACOM へ接続できるネットワーク工事、現場側のセキュリティポリシー、ルーティングを確認する
衛星 / NTN衛星対応エリア内で、地上回線が届かない場所、海上、農地、山間部、遠隔資産SORACOM Air for Satellite の planNT1 を IoT SIM に追加し、セルラーを含むサブスクリプションと planNT1 を 1 つの IoT SIM で管理する小さな UDP ペイロード、低頻度、遅延を想定し、TCP、HTTP、MQTT をデバイスから直接使う構成は避ける

SORACOM Arc で非セルラー回線を SORACOM に接続する

Arc は、Wi-Fi や有線 LAN など、セルラー以外の IP ネットワークから SORACOM へ接続するために使います。主回線やオフロード回線がセルラー以外になる場合でも、SORACOM Beam や SORACOM Harvest Data などの利用経路をそろえる選択肢になります。

ただし、Arc は「回線を自動で選ぶ機能」ではありません。どのネットワークインターフェースを使うか、どの宛先を WireGuard インターフェースへ向けるかは、デバイス側の接続監視、ルーティング、再接続処理で設計します。

衛星 / NTN を組み込む判断ポイント

衛星は、セルラーや Wi-Fi と同じ感覚で大容量通信を置き換える回線ではありません。衛星対応エリアで地上回線が届かない場所から、状態、位置、警報などの小さく重要なデータを送るための回線として検討します。

確認項目設計で見る内容
対応地域利用する国や地域が衛星対応エリアに含まれるかを確認する。planNT1 の衛星対応エリアは、Skylo の提供状況に依存する。
対応モジュールSkylo 認定デバイスまたは SORACOM が検証済みのモジュールを確認する。採用前にファームウェアや周波数帯も確認する。
通信方式衛星区間は NB-IoT NTN を想定し、UDP の小さなデータ送信を中心にする。
ペイロード衛星で送るペイロードの最大サイズと、実際に送るデータのサイズを確認する。SORACOM Air for Satellite では、衛星通信時の UDP ペイロードの最大サイズは 1200 バイトです。
遅延衛星通信ではセルラーより遅延が大きくなる。同期的な通信、長いセッション、頻繁な再送が必要な処理は避ける。
双方向性下り通信が必要な場合は、確認応答や短い命令など、必要最小限の用途に絞る。
料金衛星通信はセルラーより高額になりやすい。送信頻度、再送、テスト通信、予期しない切替を料金見積もりに含める。
VPGplanNT1 と VPG を組み合わせる場合、衛星通信で VPG を利用できるのは VPG のランデブーポイントが Frankfurt の場合に限られる。IoT SIM のサブスクリプション、デバイスの設置場所、利用する通信経路もあわせて確認する。
衛星をブロードバンドの予備回線として扱わない

SORACOM Air for Satellite の planNT1 は、小さな IoT メッセージを送る用途に向いています。動画、音声、常時接続の TCP セッション、大容量ファイル転送、ブロードバンド回線の代替として設計しないでください。

組み合わせ方を選ぶ

構成使いどころ判断ポイント
セルラーを主回線、Wi-Fi / 有線 LAN をオフロード回線にする移動中はセルラー、拠点では Wi-Fi や有線 LAN を使うArc を使う範囲、セルラーと Arc のデータ通信料金、切替時の再送処理を確認する
セルラーを主回線、衛星を予備回線にする衛星対応エリアで、セルラー圏外でも重要な状態や警報を送る衛星で送るデータを絞り、ペイロード、遅延、料金、アクティブサブスクリプションの切替方式を確認する
Wi-Fi / 有線 LAN を主回線、セルラーを予備回線にする拠点内設備や仮設現場で、固定回線が不安定な場合に備える現場ネットワーク停止時に、デバイスがセルラーへ切り替えられるかを確認する
衛星を主回線にする衛星対応エリア内で、地上回線がほとんど使えない場所から低頻度の状態送信を行う送信データを小さくし、通信頻度、電力、遅延、下り通信を使うかどうかを先に決める

planNT1 を IoT SIM に追加する場合、サブスクリプションコンテナを利用します。planNT1 を追加すると、セルラーを含むサブスクリプションの自動切替が無効になり、アクティブサブスクリプションを切り替えるには AT コマンドを使います。衛星対応エリア外では、planNT1 を追加していても衛星通信には切り替えられません。そのため、「セルラー圏外になったら必ず衛星へ自動で切り替わる」と決めつけず、切替方式をデバイス実装として確認します。

送るデータを回線ごとに分ける

衛星を含む回線設計では、回線ごとに送るデータを分けます。

データ通常時の送信先圏外時や予備回線での扱い
定期テレメトリセルラー、Wi-Fi、有線 LAN重要項目だけに絞る。送信頻度を下げる。
異常通知セルラー、Wi-Fi、有線 LAN衛星で送る候補にする。重複送信と再送を制御する。
位置情報セルラー、衛星送信間隔とバルク送信の要否を決める。
ファームウェア更新Wi-Fi、有線 LAN、セルラー衛星では扱わない。実施する時間帯と回線を固定する。
保守アクセスセルラー、Wi-Fi、有線 LAN衛星では常時接続の保守アクセスを想定しない。

衛星で送るデータは、SORACOM Beam を使い、デバイス側では小さな UDP ペイロードとして送信し、SORACOM Beam から接続先へ HTTP / HTTPS で転送する構成を検討します。TLS や接続先ごとの認証処理をデバイス側で毎回行う構成にすると、ペイロード、再送、遅延、料金の面で不利になることがあります。

運用前に確認すること

運用前に、次の項目を確認します。

  • 設置場所ごとに、セルラー、Wi-Fi、有線 LAN、衛星の利用可否を確認している。
  • 主回線、予備回線、オフロード回線の役割を決めている。
  • どの回線でどのデータを送るかを決めている。
  • 回線切替時の再送、重複送信、順序入れ替わり、未送信データの扱いを決めている。
  • Arc を使う場合は、バーチャル SIM/Subscriber の種類、グループ設定、VPG、AllowedIPs / additionalAllowedIPs を確認している。
  • 衛星を使う場合は、利用する国や地域が衛星対応エリアに含まれるか、対応モジュール、周波数帯、ペイロード制限、遅延、双方向性、料金を確認している。
  • planNT1 を使う場合は、アクティブサブスクリプションの切替方法をデバイス実装として確認している。
  • 通信量が増えた場合の料金、異常通信の検知、上限管理、運用者への通知を決めている。
  • デバイスの電源条件と、衛星探索や再送による消費電力を確認している。

元記事・元資料

このページは、以下の記事・資料をもとにしています。
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