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必要時アクセス、常時閉域アクセス、命令送信を使い分ける

必要時アクセス、常時閉域アクセス、命令送信の使い分けを判断する

遠隔からデバイスや設備を扱うときは、最初に「人が作業のためにデバイスや設備へ接続する」のか、「ネットワークとして常時到達させる」のか、「命令やリクエストだけを送信する」のかを分けます。保守担当者が Secure Shell (SSH)、Remote Desktop Protocol (RDP)、Virtual Network Computing (VNC)、Web 画面で作業する場合と、クラウド側から Programmable Logic Controller (PLC) やカメラへ継続的にアクセスする場合、SORACOM API (Application Programming Interface) から短い命令を送信する場合では、選ぶサービスが変わります。

このページでは、SORACOM NapterSORACOM GateSORACOM ArcRemote Command を、必要時アクセス、常時閉域アクセス、命令送信の判断軸で整理します。具体的な構成図や設定手順は、リモートアクセス構成 と各サービスのドキュメントを参照してください。

このページが役立つケース

  • 現地へ行かずに、保守作業、設定変更、ログ取得を行いたい。
  • Programmable Logic Controller (PLC) の遠隔監視、遠隔保守、遠隔制御の方式を選びたい。
  • ネットワークカメラの Web 画面、Real Time Streaming Protocol (RTSP)、静止画取得、常時監視の扱いを整理したい。
  • Transport Layer Security (TLS) に対応していない Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Transmission Control Protocol (TCP) クライアントを、できるだけ改修せずに扱いたい。
  • SORACOM Napter、SORACOM Gate、SORACOM Arc、Remote Command の違いを、同じ判断軸で比較したい。
  • 必要時アクセス、常時閉域アクセス、命令送信のどれを先に検討すべきか決めたい。

最初に見る判断表

やりたいこと最初に検討する方式主なサービス判断理由主な注意点
保守担当者が必要なときだけデバイスへログインする必要時アクセスSORACOM Napter接続元と時間を制限し、必要な作業時間だけリモートアクセスできる。Transmission Control Protocol (TCP) のみ対応。アクセス可能時間、同時接続、監査ログ保存期間を確認する。
ブラウザだけで Secure Shell (SSH) 接続したい必要時アクセスSORACOM Napter Web ターミナル端末側に Secure Shell (SSH) クライアントを用意せず、ユーザーコンソールから作業を開始しやすい。Web ターミナルもオンデマンドリモートアクセスを作成する。対応する認証方式を確認する。
平文 Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Transmission Control Protocol (TCP) の既存機器へ一時的にアクセスする必要時アクセスSORACOM Napterアクセス元から SORACOM までのインターネット区間を Transport Layer Security (TLS) で保護できる。Transport Layer Security (TLS) は SORACOM Napter で終端される。デバイス側の通信保護範囲を確認する。
複数拠点や複数設備へ常時閉域で到達したい常時閉域アクセスSORACOM GateVPG と Gate Peer を使い、デバイスとお客様ネットワークを Local Area Network (LAN) 接続できる。VPG、Gate Peer、ルーティング、ファイアウォール、料金を含めて設計する。
デバイス間通信やクラウドからデバイスへの継続的な通信が必要常時閉域アクセスSORACOM GateCloud to Device (C2D) や Device to Device (D2D) のように、常時到達できる閉域経路を構成できる。一時的な保守だけなら過剰な構成になる場合がある。
セルラー通信ではない既存の Internet Protocol (IP) ネットワークから SORACOM に接続したいSORACOM への接続基盤SORACOM ArcWi-Fi、イーサネット、衛星通信など任意の Internet Protocol (IP) ネットワークから SORACOM へセキュアなリンクを構成できる。SORACOM Arc は接続基盤であり、必要時アクセスや常時閉域アクセスの要件は別に決める。
リモートログインせず、コマンドやリクエストだけを送信したい命令送信Remote CommandSORACOM API から Secure Shell (SSH)、Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Hypertext Transfer Protocol Secure (HTTPS)、Transmission Control Protocol (TCP)、User Datagram Protocol (UDP)、Real Time Streaming Protocol (RTSP) を使ってデバイスへ送信できる。対応プロトコルごとの最大データサイズ、レスポンス有無、タイムアウト、料金を確認する。
低頻度の状態変更や現場装置の一回限りの操作を実行したい命令送信Remote Command常時リモートログインせず、命令と結果を SORACOM API の呼び出し単位で扱える。User Datagram Protocol (UDP) は実行結果を受信できない。デバイス側で受け付ける条件を設計する。
Real Time Streaming Protocol (RTSP) 対応カメラから静止画を取得したい命令送信または自動化Remote Command、SORACOM Fluxカメラが Real Time Streaming Protocol (RTSP) と H.264 に対応していれば、静止画取得や Harvest Files 保存を検討できる。継続視聴や常時監視が必要な場合は、常時閉域アクセスやカメラサービスも比較する。

判断軸を分ける

1. 人が作業するのか、システムが命令を送信するのか

保守担当者がターミナル、Web 画面、リモートデスクトップ、専用保守ツールを使って状況を確認しながら作業するなら、まず SORACOM Napter または SORACOM Gate を比較します。作業者の対話操作が必要なため、セッション中に継続して通信できる経路が必要です。

一方で、クラウド側の処理や運用システムから「再起動する」「設定値を送信する」「状態を取得する」「静止画を取得する」などの命令だけを送信したい場合は、Remote Command を先に検討します。人がログインする経路を常設しないため、操作対象とプロトコルが合えば運用負荷を抑えられます。

2. 必要時だけで要件を満たすか、常時到達が必要か

障害調査、設定変更、ログ取得、スポット点検など、必要なときだけリモートアクセスする作業は SORACOM Napter が適しています。接続元 Internet Protocol (IP) アドレスレンジを制限し、オンデマンドリモートアクセスの時間内だけデバイスへ到達させます。

常時監視、常時制御、複数拠点からの継続的なアクセス、監視サーバーや管理システムからの定常的な通信が必要な場合は、SORACOM Gate を検討します。SORACOM Gate は、お客様ネットワークとデバイスを LAN 接続するサービスとして、常時接続を想定します。

3. Transmission Control Protocol (TCP) だけで要件を満たすか、任意の Internet Protocol (IP) 通信が必要か

SORACOM Napter は Transmission Control Protocol (TCP) のリモートアクセスに向いた方式です。Secure Shell (SSH)、Hypertext Transfer Protocol (HTTP)、Remote Desktop Protocol (RDP)、Virtual Network Computing (VNC)、Transmission Control Protocol (TCP) ベースの保守ツールなどに、必要なときだけ接続する用途に向きます。

User Datagram Protocol (UDP)、Internet Control Message Protocol (ICMP)、独自プロトコル、デバイス間通信など、Transmission Control Protocol (TCP) 以外を含む Internet Protocol (IP) 通信が必要な場合は、SORACOM Gate を検討します。Remote Command も User Datagram Protocol (UDP) に対応していますが、これは API 呼び出し単位の命令送信であり、常時のネットワーク到達性を提供するものではありません。

4. セルラー通信だけか、既存ネットワークも使うか

デバイスやゲートウェイが SORACOM Air for セルラーの IoT SIM で接続する場合は、その IoT SIM を起点に SORACOM Napter、SORACOM Gate、Remote Command を検討できます。

既存の Wi-Fi、イーサネット、衛星通信、固定回線など、セルラー通信以外の Internet Protocol (IP) ネットワーク上にあるデバイスやゲートウェイを SORACOM に接続する場合は、SORACOM Arc を利用します。SORACOM Arc は、WireGuard を使って SORACOM へのセキュアなリンクを構成する接続基盤です。SORACOM Arc のバーチャル SIM/Subscriber を使うことで、SORACOM Napter による必要時アクセスや、既存ネットワークを含む構成検討につなげられます。

5. 監査、制限、料金をどこまで必要とするか

方式を選ぶ前に、運用上の証跡と制限を確認します。

  • SORACOM Napter は、オンデマンドリモートアクセスの作成、接続元 Internet Protocol (IP) アドレスレンジ、アクセス可能時間、同時接続、Napter 監査ログを確認する。
  • SORACOM Gate は、VPG、Gate Peer、ルーティング、セキュリティグループ、ファイアウォール、閉域接続の費用を確認する。
  • SORACOM Arc は、バーチャル SIM/Subscriber、soratun または WireGuard 実装、認証情報、接続再確立、通信経路を確認する。
  • Remote Command は、対応プロトコル、最大データサイズ、レスポンス有無、タイムアウト、送信元 Internet Protocol (IP) アドレス、料金、提供状況を確認する。
料金と制限は必ず公式ドキュメントで確認してください

Remote Command の料金や提供状況、SORACOM Napter の監査ログ利用オプション、同時接続、アクセス可能時間などは、運用設計と費用に直接影響します。アーキテクチャーを確定する前に、各サービスのドキュメントと料金ページで最新情報を確認してください。

仕様確認ポイント

方式を選ぶときは、以下の制限値を設計条件として確認します。これらはサービス仕様や料金に関わるため、設計確定時には必ず公式ドキュメントで最新情報を確認してください。

対象確認項目確認内容
SORACOM Napter接続元制限リモートアクセス元 Internet Protocol (IP) アドレスレンジの指定が必要。誰からでもアクセスできる 0.0.0.0/0 には設定できない。
SORACOM Napterアクセス可能時間オンデマンドリモートアクセスのアクセス可能時間は最大 8 時間。
SORACOM Napter同時利用数1 つの IoT SIM に対して同時に 6 つのオンデマンドリモートアクセスを作成できる。1 つのオンデマンドリモートアクセスあたりの同時接続セッションは 12 セッション。
SORACOM Napter対応プロトコルSORACOM Napter は Transmission Control Protocol (TCP) のみ対応。User Datagram Protocol (UDP) を使う場合は SORACOM Gate などを比較する。
SORACOM Napter監査ログNapter 監査ログは標準で 24 時間保存。Napter 監査ログ利用オプションで 366 日間に延長できる。
SORACOM Napter送信元 Internet Protocol (IP) アドレスSORACOM Air 利用時は 100.127.10.16、SORACOM Arc 利用時は 100.127.10.17
Remote Command提供状況SORACOM API とユーザーコンソールで利用できる。ただし Transmission Control Protocol (TCP)、User Datagram Protocol (UDP)、Real Time Streaming Protocol (RTSP) はユーザーコンソールでは利用できないため、SORACOM API を利用する。
Remote Command対応プロトコルSecure Shell (SSH)、Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Hypertext Transfer Protocol Secure (HTTPS)、Transmission Control Protocol (TCP)、User Datagram Protocol (UDP)、Real Time Streaming Protocol (RTSP)。
Remote Command最大データサイズSecure Shell (SSH) は 8 KiB。Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Hypertext Transfer Protocol Secure (HTTPS) は Uniform Resource Locator (URL)、ヘッダー、ボディを含めて 5 MiB。Transmission Control Protocol (TCP) は 5 MiB。User Datagram Protocol (UDP) はネットワーク経路によって約 1,400 バイト以下。Real Time Streaming Protocol (RTSP) はデータ送信不可。
Remote CommandレスポンスUser Datagram Protocol (UDP) を除き、デバイスからの実行結果を受信できる。
Remote Command接続維持API 呼び出しごとに切断される。常時接続が必要な場合は SORACOM Gate や SORACOM Napter と比較する。
Remote CommandタイムアウトSecure Shell (SSH)、Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Hypertext Transfer Protocol Secure (HTTPS)、Real Time Streaming Protocol (RTSP) では、10 秒以内にレスポンスを返せるか確認する。Transmission Control Protocol (TCP) を低消費電力状態と組み合わせる場合は、Remote Command 呼び出しから約 300 秒以内にレスポンスを返せるか確認する。
Remote Command料金料金と提供状況は変更される可能性があるため、設計確定時に公式ドキュメントと料金ページで最新情報を確認する。
Remote Command送信元 Internet Protocol (IP) アドレスSORACOM Air 利用時は 100.127.10.16、SORACOM Arc 利用時は 100.127.10.17

方式別の設計観点

SORACOM Napter: 必要時アクセス

SORACOM Napter は、IoT SIM または SORACOM Arc のバーチャル SIM/Subscriber を利用するデバイスへ、必要なときだけリモートアクセスする方式です。デバイスをインターネットへ常時公開せず、作業時にオンデマンドリモートアクセスを作成して利用します。

向いている作業は以下のとおりです。

  • Secure Shell (SSH) でログインして設定変更やログ取得を行う。
  • Hypertext Transfer Protocol (HTTP) の管理画面へ一時的にアクセスする。
  • Remote Desktop Protocol (RDP) や Virtual Network Computing (VNC) で端末画面を確認する。
  • Transmission Control Protocol (TCP) ベースの保守ツールで必要時だけ接続する。
  • 平文 Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Transmission Control Protocol (TCP) の既存機器へ、アクセス元から SORACOM Napter までを Transport Layer Security (TLS) で保護して接続する。

設計時は、以下を確認します。

  • 接続元 Internet Protocol (IP) アドレスレンジをどの単位で許可するか。
  • アクセス可能時間を作業時間に合わせて短くできるか。
  • 同時に作成するオンデマンドリモートアクセス数と同時接続セッション数が運用に合うか。
  • Napter 監査ログは標準保存期間で要件を満たすか、保存期間延長が必要か。
  • Transmission Control Protocol (TCP) 以外の通信が必要ではないか。

Web ターミナルを使うと、ブラウザから Secure Shell (SSH) 接続を開始できます。企業ネットワークなどで端末への Secure Shell (SSH) クライアント導入やランダムポート通信が制限される場合でも、ブラウザ中心の運用を構成しやすくなります。

SORACOM Gate: 常時閉域アクセス

SORACOM Gate は、お客様ネットワークとデバイスを Local Area Network (LAN) 接続する方式です。VPG と Gate Peer を使い、クラウドや社内ネットワークからデバイスへ常時到達できる閉域経路を構成します。

向いている作業は以下のとおりです。

  • Programmable Logic Controller (PLC) や産業機器を常時監視する。
  • 監視サーバー、Supervisory Control And Data Acquisition (SCADA)、管理システムから継続的にアクセスする。
  • Cloud to Device (C2D) や Device to Device (D2D) の通信が必要である。
  • Transmission Control Protocol (TCP) 以外を含む Internet Protocol (IP) 通信が必要である。
  • 複数拠点、複数設備、ゲートウェイ配下の複数機器を閉域網として扱う。

設計時は、以下を確認します。

  • 常時到達性が本当に必要か。
  • 一時保守で対応できる作業まで常時閉域アクセスに寄せていないか。
  • Gate Peer の配置、冗長性、セキュリティグループ、ファイアウォール、ルーティングをどう管理するか。
  • VPG のタイプ、料金、接続先のクラウドや社内ネットワークとの責任分界をどう設計するか。
  • 現場ルーター配下のデバイスへ到達する場合、Network Address Translation (NAT) やルーティングをどう扱うか。

SORACOM Gate は、保守担当者が必要なときだけ接続する用途には過剰な構成になる場合があります。一方で、常時監視、継続制御、複数装置への横断アクセスが必要な場合は、都度オンデマンドリモートアクセスを作成するよりも運用しやすくなります。

SORACOM Arc: 既存 Internet Protocol (IP) ネットワークを SORACOM に接続する

SORACOM Arc は、任意の Internet Protocol (IP) ネットワークから SORACOM へセキュアなリンクを提供するサービスです。Wi-Fi、イーサネット、衛星通信、固定回線などでインターネット接続できるデバイスやゲートウェイに、バーチャル SIM/Subscriber を割り当てて SORACOM のサービスを利用できる状態にします。

SORACOM Arc は、SORACOM Napter、SORACOM Gate、Remote Command と同じ層の選択肢ではありません。接続基盤として、以下のように組み合わせて考えます。

  • セルラー通信ではないデバイスへ必要時アクセスする場合は、SORACOM Arc のバーチャル SIM/Subscriber と SORACOM Napter の組み合わせを検討する。
  • 既存 Internet Protocol (IP) ネットワーク上のゲートウェイを SORACOM 側の設計に組み込む場合は、SORACOM Arc を接続基盤として検討する。
  • セルラー通信と非セルラー通信を混在させる場合は、IoT SIM とバーチャル SIM/Subscriber の管理単位をそろえる。

設計時は、soratun または WireGuard 実装の運用、認証情報の更新、接続再確立、対象デバイスの常時稼働性を確認します。

Remote Command: 命令送信

Remote Command は、SORACOM API からデバイスへコマンドやリクエストを送信し、その実行結果を API レスポンスとして受け取る方式です。人がリモートログインして画面を確認しながら作業するのではなく、運用システムやクラウド側の処理から命令を送信する用途に向きます。

対応プロトコルは、Secure Shell (SSH)、Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Hypertext Transfer Protocol Secure (HTTPS)、Transmission Control Protocol (TCP)、User Datagram Protocol (UDP)、Real Time Streaming Protocol (RTSP) です。公式ドキュメントでは、最大データサイズやレスポンス有無がプロトコルごとに定義されています。たとえば、User Datagram Protocol (UDP) は実行結果を受信できません。Real Time Streaming Protocol (RTSP) はデータ送信ではなく、カメラ画像取得などの用途で検討します。

向いている作業は以下のとおりです。

  • デバイスへ短い命令を送信し、結果を SORACOM API のレスポンスとして受け取る。
  • Hypertext Transfer Protocol (HTTP) / Hypertext Transfer Protocol Secure (HTTPS) リクエストを送信して状態取得や設定変更を行う。
  • Secure Shell (SSH) コマンドを API 経由で実行する。
  • Transmission Control Protocol (TCP) または User Datagram Protocol (UDP) のパケットを送信する必要がある。
  • Real Time Streaming Protocol (RTSP) 対応カメラから静止画を取得し、SORACOM Harvest Files などへ保存する構成を検討する。

設計時は、以下を確認します。

  • デバイスが Remote Command の送信元からの通信を受け付けられるか。
  • プロトコルごとの最大データサイズに収まるか。
  • 期待するレスポンスがタイムアウト内に返るか。
  • User Datagram Protocol (UDP) のようにレスポンスを受け取れない方式でも運用できるか。
  • API 呼び出しごとに接続が切断される仕様に合わせて、デバイス側の処理を設計できるか。
  • 料金と提供状況を確認したか。
Remote Command は常時接続の代替ではありません

Remote Command は、API 呼び出し単位で命令を送信する方式です。担当者が対話的に作業する、任意の Internet Protocol (IP) 通信を常時通す、監視システムから継続的に到達するなどの要件では SORACOM Napter または SORACOM Gate を比較してください。

ユースケース別の選び方

保守作業、設定変更、ログ取得

保守担当者が必要なときだけデバイスへ接続する場合は、SORACOM Napter を先に検討します。Secure Shell (SSH) でログを確認する、Web 管理画面で設定を変更する、Remote Desktop Protocol (RDP) や Virtual Network Computing (VNC) で画面を確認するなどの作業は、時間制限付きの必要時アクセスと相性がよいです。

以下の条件に当てはまる場合は、SORACOM Gate も比較します。

  • 保守作業だけでなく、監視システムから常時アクセスする。
  • Transmission Control Protocol (TCP) 以外の通信が必要である。
  • 複数機器へ閉域網として横断的に到達する必要がある。
  • 社内ネットワークやクラウドから常時到達できることが運用要件である。

Programmable Logic Controller (PLC) 遠隔監視

Programmable Logic Controller (PLC) の遠隔監視では、既存の保守運用をどこまで変えられるかを先に確認します。担当者が必要なときだけ既存の保守ツールで確認するなら、ゲートウェイやルーターを経由した SORACOM Napter の必要時アクセスを検討します。

常時監視、稼働データの継続収集、監視サーバーからの定常アクセスが必要な場合は、SORACOM Gate を検討します。Programmable Logic Controller (PLC) 側のプロトコル、現場ネットワークのルーティング、Network Address Translation (NAT) の有無、ゲートウェイの配置を含めて設計します。

一回限りの制御命令や状態取得で要件を満たす場合は、Remote Command を利用できるか確認します。ただし、Programmable Logic Controller (PLC) へ直接命令を送信するのか、ゲートウェイ上のアプリケーションに命令を送信するのかで、デバイス側の実装と責任範囲が変わります。

ネットワークカメラ

ネットワークカメラは、利用者が求める体験によって選び方が変わります。

要件検討する方式判断理由
管理画面や設定画面に必要なときだけアクセスするSORACOM NapterHypertext Transfer Protocol (HTTP) や Transmission Control Protocol (TCP) ベースの画面へ必要時アクセスしやすい。
継続的に映像や管理通信を扱うSORACOM Gate常時閉域で到達できる構成にしやすい。
Real Time Streaming Protocol (RTSP) 対応カメラから静止画を取得するRemote Command、SORACOM FluxAPI 呼び出しやワークフローから画像取得を自動化しやすい。
クラウド型カメラサービスとして利用するソラカメなどの専用サービスカメラ、クラウド録画、閲覧、運用機能を一体で扱える。

Remote Command の Real Time Streaming Protocol (RTSP) 機能を使う場合は、カメラが Real Time Streaming Protocol (RTSP) over Transmission Control Protocol (TCP) と H.264 などの条件を満たすかを確認します。継続視聴が主目的であれば、Remote Command だけで完結させず、常時閉域アクセスやカメラサービスと比較します。

暗号化非対応 Transmission Control Protocol (TCP) クライアント

既存の Transmission Control Protocol (TCP) クライアントやデバイス側サーバーを改修できない場合でも、SORACOM Napter の Transport Layer Security (TLS) 接続を利用して、アクセス元から SORACOM までのインターネット区間を保護できます。

クライアントが Transport Layer Security (TLS) に対応していない場合は、クライアント端末側に nginx などのプロキシを置き、ローカルでは平文 Transmission Control Protocol (TCP)、プロキシから SORACOM Napter までは Transport Layer Security (TLS) で接続する構成を検討します。この場合も、Transport Layer Security (TLS) がどこで終端され、どの区間が平文になるかを明確にしてください。

低頻度の命令送信や状態変更

低頻度の状態変更、リセット、短い設定値の反映、現場装置の一回限りの操作などは、Remote Command を検討します。常時ログイン経路を用意せず、SORACOM API から命令を送信できるため、運用システムや自動化ワークフローに組み込みやすくなります。

ただし、デバイス側が受け付けるプロトコル、データサイズ、タイムアウト、応答の扱いが要件に合わない場合は、Remote Command のみでは実現できないことがあります。応答確認や再試行が必要な制御では、デバイス側の状態管理と冪等性を設計してください。

組み合わせて使う場合

1 つのプロジェクトで 1 つの方式だけを使う必要はありません。運用の場面ごとに、必要時アクセス、常時閉域アクセス、命令送信を分けます。

場面組み合わせ例使い分け
通常時は監視し、障害時だけ保守するSORACOM Gate + SORACOM Napter監視サーバーは常時閉域アクセスを使い、保守担当者のログインは必要時アクセスに限定する。
非セルラー通信の設備を SORACOM に接続し、必要時だけリモートアクセスするSORACOM Arc + SORACOM Napter既存 Internet Protocol (IP) ネットワークから SORACOM へ接続し、作業時だけオンデマンドリモートアクセスを作成する。
監視データを確認しながら、特定の操作だけを API で送信するSORACOM Gate + Remote Command常時監視は閉域経路で行い、短い命令や画像取得は Remote Command で自動化する。
現地へ行かず、操作だけをワークフロー化するRemote Command + SORACOM Fluxイベントやスケジュールを起点に命令送信、画像取得、通知を組み合わせる。

組み合わせる場合は、同じ操作を複数経路から実行できる状態にしないことが重要です。たとえば、保守担当者の手動操作と Remote Command の自動操作が同時に同じ設備を変更できると、原因調査が難しくなります。操作権限、実行条件、監査ログ、通知を分けて設計してください。

運用前チェック

  • 作業者がログインする必要があるか、命令送信だけで要件を満たすかを決めた。
  • 必要時アクセスか、常時閉域アクセスかを決めた。
  • Transmission Control Protocol (TCP) 以外の通信が必要かを確認した。
  • セルラー通信だけで構成するか、SORACOM Arc で既存 Internet Protocol (IP) ネットワークも接続するかを決めた。
  • SORACOM Napter を使う場合、接続元 Internet Protocol (IP) アドレスレンジ、アクセス可能時間、同時接続、Napter 監査ログ、料金を確認した。
  • SORACOM Gate を使う場合、VPG、Gate Peer、ルーティング、ファイアウォール、冗長性、料金を確認した。
  • SORACOM Arc を使う場合、バーチャル SIM/Subscriber、soratun または WireGuard 実装、認証情報、接続再確立を確認した。
  • Remote Command を使う場合、対応プロトコル、最大データサイズ、タイムアウト、レスポンス有無、送信元 Internet Protocol (IP) アドレス、料金、提供状況を確認した。
  • 操作結果の記録、監査、通知、再試行、誤操作時の戻し方を決めた。

元記事・元資料

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